はじめての方でも出来る 年末調整のやり方と計算例

給与担当者や計算事務にとって、12月は受難の季節。通常の給与計算に加え賞与計算と年末調整(扶養申告書、社会保険料や生命保険料控除の証明書の漏れに注意)が加わり、後には給与支払報告書、法定調書、償却資産、源泉税納付等が控えています。

◆Tax 年末調整と確定申告で税額が変わる!

給与所得しかない人は、年末調整で税金の計算は終わりです。 もし、会社が年末調整をしてくれなかった! などの理由で、年調未済といった事由のある方は、確定申告が必要なのですが・・・ 実は、給与所得しかない方が確定申告を行うと、 年末調整での税金計算とは若干違う税計算になります。 ※原因は復興税計算の扱いによるもの。  給与所得のみで特に控除がない場合、確定申告よりも年末調整の方が、若干ですが有利です。

◆Tax 年末調整方式と確定申告方式の計算比較

上記のように書かれても、税額に違いなんて出るわけないじゃん。 何言ってんだこいつ?と思われるでしょう。 実際に、計算例を挙げて説明します。
計算例給与収入給与所得社会保険料基礎控除課税所得源泉所得税
年末調整5,000,0003,460,000680,000380,0002,400,000142,500
確定申告
ここまでは、年末調整も確定申告も同様で、計算に違いはありません。 問題は、ここから先の計算です。
計算例源泉所得税復興税所得税年調年税額源泉徴収税額差し引き 還付
年末調整142,5002,992145,492145,400200,000▲54,600
確定申告-▲54,508
※社会保険料と源泉徴収税額は、仮の金額です。 還付金が生じる場合において、確定申告では年調年税額の100円切り捨て処理がありません。 このため、税額の計算結果に差異が生じます。

◆Tax 源泉徴収不足による追加徴収の場合

上記の例において、源泉徴収税額が10万円のケースで計算してみます。
計算例源泉所得税復興税所得税年調年税額源泉徴収税額差し引き不足による追加徴収
年末調整142,5002,992145,492145,400100,00045,40045,400
確定申告-45,492
※源泉所得税の計算までは、計算結果が変わらないため、下の表のみ。 徴収不足の場合には、年末調整・確定申告のどちらでも計算結果は変わりません。 計算結果が変わるのは、還付の場合で、100円未満の端数が生じる場合です。
◆Tax 実際に計算してみよう!
これだけ書いてもそんな・・・馬鹿な・・・と思われる方が多いと思います。 A.国税庁の所得税の確定申告書作成コーナー   https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinkoku/shotoku/kakutei.htm B.年末調整の簡易計算サイト   http://e-kyu.com/muryou/nencyo.html この2つのサイトで、計算してみれば本当に結果が違うというのが簡単に判ります。 ※計算結果に差異が生じるのは復興税が原因です。  復興税導入前の年度では、年末調整と確定申告の計算結果は同じになります。
◆Tax 不平等な課税制度なのか?
復興税の計算式が会社の年末調整と確定申告とでは違います。 http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q13139942063 Yahoo!の知恵袋で、この計算結果の違いに異議を申し立てている質問を発見。 まあ、確かに・・・、おかしいんですよね。 同じ給与で、社会保険料や扶養状況など、全く同じ控除額でも税金の金額が違うって・・・ おかしいですが、100円未満の誤差ですし、許容範囲でしょう。 よく、騒がれている一票の格差問題と同じようなもの、誤差の範囲ですよ。 ※年末調整と確定申告で取り扱いが違うという根拠条文は、  東日本大震災からの復興のための施策を実施するために必要な財源の確保に関する特別措置法にある筈・・・ TOPに戻る:はじめての年末調整
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