はじめての方でも出来る 年末調整のやり方と計算例

給与担当者や計算事務にとって、12月は受難の季節。通常の給与計算に加え賞与計算と年末調整(扶養申告書、社会保険料や生命保険料控除の証明書の漏れに注意)が加わり、後には給与支払報告書、法定調書、償却資産、源泉税納付等が控えています。

◆Tax 年末調整事務について

このページの内容を見れば新入社員やはじめての方でも年末調整が出来るようになります! はじめての方でも計算できるように、年末調整のやり方の要点や補足など簡潔に記載しております。 年末調整となると通常の給与計算の他、 賞与計算、賞与支払届、配偶者・扶養・保険料控除、住宅借入金、年税額、源泉徴収過不足、 こういった臨時の仕事が出てきます。 年末調整が終わったら法定調書と給与支払報告書、償却資産、慣れるまでは大変かもしれません。 納期の特例を受けている場合には源泉税の支払いにも注意しましょう。 まずは年末調整を行う前の準備段階について説明します。 具体的には賞与計算時に間違いやすい部分と扶養・配偶者・保険料控除申告書についてです。 年末調整前の注意事項 通常の給与計算と賞与計算は源泉所得税の過不足額を除いて完璧な状況にしておくこと、 ここから間違ってたら話にならん、全くもって笑えない状態です。 賞与に対する源泉徴収税額の算出率 https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/zeigakuhyo2013/data/03.pdf 誤解される事が稀にあるケースですが、賞与の源泉徴収は給与とは違います。 給与はその月の課税支給額と月額表(源泉徴収税額表)を見れば判りますが、 賞与は支払った額ではなく前月の課税支給額から賞与の金額に乗ずべき率を決定します。 手引きがありましたら、賞与の源泉徴収税額表の扶養親族の下を読めば一目瞭然です。 賞与にかかる社会保険料 給与と同じく賞与にも社会保険料がかかります。 給与は1か月遅れで社会保険料を控除しますが、賞与は支払った月で天引きを行うのが一般的です。 健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料については、 賞与から1,000円未満の数字を切り捨てた額を標準賞与額とし、保険料率を乗じて保険料を算出。 被保険者負担分を控除します(通常折半) 雇用保険料については、賞与総額に雇用保険料率(被保険者負担分)を乗じて保険料を算出します。 ※事業主が、給与から被保険者負担分を控除する場合、  被保険者負担分の端数が50銭以下の場合は切り捨て、50銭を超える場合は切り上げて1円となります。 ※賞与を支払った場合には5日以内に賞与支払届を提出する必要があります。 ※労働保険年度更新手続きは時間的余裕があるので気にする必要はありません。 ※賞与は年3回以下支給する賃金です。  年4回以上支給する場合には給与扱いとなり標準報酬月額の対象となります。  これは実態で判断するため、賞与ではなく一時金という名称を使っていても同じです。 ※社会保険の適用事業所でなければ、社会保険に加入しなくても差し支えありません。  加入していないなら社会保険料の控除は0となります。 ※雇用保険については、原則加入となります。  使用人兼務役員を除く取締役、監査役、個人事業主、個人事業主と生計を一にする専従者は雇用保険対象外。 ※年末調整の還付や徴収不足についてはたいてい12月中、給与で処理します。  締め日などの関係で1月に行う会社もあります。 扶養控除等異動申告書・保険料控除及び配偶者特別控除申告書 源泉徴収の甲欄適用には扶養控除等申告書の提出が必要となります。 乙欄適用者を除き甲欄適用者の分は配布と回収を行いましょう(確定申告者含む) 扶養控除等申告書の記載例 保険料控除等申告書については、保険料控除がある人の分を回収しましょう。 年末調整前の確認事項 集めた扶養・配偶者・保険料控除の申告書については、前年分資料と照らし合わせてチェックを行います。 1.扶養家族の年齢や状態が変わっていないか(特定・老人・同居・障害・死別による寡婦など) 2.保険料控除証明書の添付漏れ(前回あった証明書が今回は添付されていない等) 3.新しく雇用した従業員の前職分源泉徴収票(前職分給与や社会保険控除、源泉徴収額を年末調整で使用するため) 4.住宅借入金等特別控除を受ける場合、初回は確定申告が必要な旨を説明する(次年度からは年末調整で処理できる)  住宅借入金等特別控除申告書と借入金の年末残高等証明書があるかチェック。 5.年末調整の対象とならない人がいないかチェック (他の給与の支払者に扶養控除等申告書を提出する方、乙欄丙欄適用など)

◆Tax 年末調整の計算方法

非課税通勤手当は外し、その年に払った課税支給額、社会保険料控除、源泉徴収額、 扶養控除申告書と保険料控除申告書、住宅借入金控除及び借入金残高証明書などを元に計算します。 具体的な計算順序は以下に挙げる1〜13の項目です。 Step1.給与収入の計算    支払給与、新入社員については前職源泉徴収票があればその額を加算します。非課税通勤手当などは除き、    年調給与額の算出(階差の有無と金額調整)→ 給与所得控除後の給与等の金額の計算 の順で給与所得を算出します。    年末調整の計算例、下記を例にした計算例となります。    年末調整で精算する際の源泉徴収簿の記載例(国税庁)    https://www.nta.go.jp/gensen/tsukin/pdf/02.pdf    給与3,615,000円(内非課税支給10,500)、賞与1,050,000円    給与収入が4,654,500円(3,615,000円 + 1,050,000 - 10,500)    ここで問題があります。    H26年の場合ですと、年調給与額に4,654,500円をそのまま使うことは出来ません。    支給額としては合っているのですが、計算に使う数値としては誤っています。    これは階差が発生しているためです。    年調給与額の算出   (4,654,500円 - 1,624,000円)/ 4,000円 = 757.625   (757.625 - 700)* 4,000円 = 2,500円    4,654,500円 - 2,500円 = 4,652,000円    これが計算に使用する年調給与額となります。    所得になおしますと3,181,600円(80% - 540,000円)    年調給与額の階差については以下のURLの1-(1)をお読みください。    収入から所得への計算は1-(2)をお読みください。    https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2014/pdf/76-77.pdf    ※H26年度の場合です。年末調整の計算年度の手引きを使って計算して下さい。    ※年末調整は給与に関する確定申告です。    そのため給与以外の所得がある方や雑損控除、医療費控除、寄付金控除を受ける際には確定申告が必要です。    これらの書類を添付されても年末調整では計算できませんので返却する必要があります。 Step2.社会保険料控除の計算    給与から差し引かれている社会保険の額+国民健康保険料、国民年金、国民年金基金、介護保険料、後期高齢者医療制度の保険料等    支払い額の全額が控除されます。    ただし、社会保険料の会社負担分は控除額にはなりません。    ※国民年金基金など掛け金の全額が控除されると言う優遇ぶり。保険会社とは違うんです!     ただし国民年金基金は、加入時点の予定利率が生涯続くためインフレに弱いという弱点があります。     デフレでしたら問題ないのですが、デフレ=景気の悪化ですのでどちらにしろジリ貧……    平成26年度国民年金保険料のお知らせ    http://www.nenkin.go.jp/n/www/service/detail.jsp?id=22807    http://www.city.shibetsu.lg.jp/www/contents/1265955296903/    社会保険料控除に関するQ&A(国税庁)    https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130_qa.htm    https://www.nta.go.jp/taxanswer/shotoku/1130.htm    ※保険料の年度は関係ありません。     平成27年分を平成26年分に支払った場合、平成26年での控除となります。     また、逆に平成23年分を平成26年に支払った場合、平成26年での控除となります。     2099年分を2014年に支払った場合も同様です。     支払った時期が控除時期となります。     保険料控除は実質負担者の控除となります。     例外として、年金からの天引きのような形で徴収される介護保険などは受給者が実質負担者となります。     社会保険料控除額の計算について詳しく Step3.小規模企業共済等掛金控除の計算   (あまり見かけませんが、小規模企業共済、確定拠出年金の掛け金)    小規模企業共済は全額が所得控除の対象となります(最大までかけると月額7万円まで)    確定拠出年金401kは全額が所得控除の対象となります(企業型、個人型など拠出限度額が異なります)    ※保険会社ではなく国が推進しているものですので、税金などの優遇が保険会社と比べ物にならないほど大きいです。     ただし、確定拠出年金は特別法人税の凍結が解けた場合、資産が目減りする危険性が高いため注意が必要です。    ※小規模企業共済は未納掛金12ヶ月以上となった場合、     契約解除予告(催告書)兼解除通知書が郵送され、共済契約の解除もありますのでご注意ください。 Step4.生命保険料控除の計算    新・旧生命保険料控除の計算が違うため注意。    旧生命保険料控除では、一般の生命保険が最大5万円の所得控除、個人年金が最大5万円の所得控除    新生命保険料控除では、一般の生命保険が最大4万円の所得控除、個人年金が最大4万円の所得控除、介護保険が最大4万円の所得控除    生命保険料の最大控除額は12万円   (改正:旧生命保険料時代は10万円、新しく介護保険も増えた。ただし介護保険は基本安いので実質的には控除縮小である)    平成24年1月1日以後に締結した保険契約等に基づく保険料が新生命保険料となります。    控除証明書に新または旧の記載がありますので、それで判断してください。    旧生命保険料控除の計算(最大5万円、計算式自体は一般、個人年金共通)    25,000円まで全額控除、25,001円〜50,000円は支払金額 / 2 + 12,500円、50,001円からは支払金額 / 4 + 25,000円    新生命保険料控除の計算(最大4万円、計算式自体は一般、個人年金、介護保険共通)    20,000円まで全額控除、20,001円〜40,000円は支払金額 / 2 + 10,000円、40,001円からは支払金額 / 4 + 20,000円    生命保険料控除の注意点    個人年金特約の付いていない個人年金は一般の生命保険料控除となります!    個人年金と言う名称だから個人年金の所得控除が受けられるとは限りません。    控除証明書に一般用、個人年金用のいずれかが記載されていますのでよくお読みください。    旧生命保険料だけの場合、一般と個人年金でそれぞれ5万円までの控除が受けられます。    新生命保険料ではどう頑張っても4万円までしか行けません。    旧生命保険料と新生命保険料を併用する場合、枠が4万円まで狭まります。    ただし、一般用が新旧併用で枠が4万円になっても、個人年金の枠は狭まりません。    配当金相当額の戻りは保険料控除額から差し引きます。    控除証明の申告額で配当金が差し引かれている場合は、申告額をそのまま使用できます。    見込額と配当金相当額のみの記載の場合には差し引いて申告してください。    1つの控除証明書に一般の生命保険、個人年金、介護保険など複数に該当するものがある場合、    それぞれ個別に控除できます。    地震保険と長期損害保険の両方に該当する控除証明は控除額の併用が出来ませんが、生命保険料は別です。    生命保険料控除の計算例    1.癌保険一般用(旧):見込額33,333円、配当金1,300円    2.一時払生命保険料(新):証明額3,000,000円    3.個人年金一般用(新):証明額30,000円    4.個人年金(旧):証明額98,300円、個人年金保険料税制適格特約付き    5.介護保険:証明額13,000円    この5つの証明書があった場合、生命保険料控除の額は102,575円となります。    具体的な計算式    一般用:1〜3の合計3,062,033円(33,333 - 1,300 + 3,000,000 + 30,000)        新旧併用のため最大額の4万円控除(40,001円からは支払金額 / 4 + 20,000円、最大4万円まで)    個人年金:4が特約付きのため個人年金の枠が取れます。         旧生命保険料のみのため5万円控除の計算式が使用可能。         控除額49,575円(50,001円からは支払金額 / 4 + 25,000円、最大5万円まで)    介護保険:5、旧生命保険の控除としては存在しないため新生命保険料の計算式を適用。         控除額13,000円(20,000円まで全額控除)    一般用40,000円 + 個人年金49,575円 + 介護保険13,000円 = 生命保険料控除額102,575円    ※生命保険料控除の最大は12万円。     一般用最大5万 + 個人年金最大5万 + 介護保険最大4万 = 合計14万だが最大が12万。     すべての枠が最大の場合は生命保険料控除が12万円となる。    ※1銭でも端数が出た場合には繰り上げ1円とします。     保険料控除の額は見込額を使います。     保険料の年度は関係ありません。     平成27年分を平成26年分に支払った場合、平成26年での控除となります。     また、逆に平成23年分を平成26年に支払った場合、平成26年での控除となります。     2099年分を2014年に支払った場合も同様です。     支払った時期が控除時期となります。     保険料控除は実質負担者の控除となります。     そのため契約者名や被保険者名にとらわれる必要はありません。     例外として、年金からの天引きのような形で徴収される介護保険などは受給者が実質負担者となります。    ※平成 27 年 3 月現在     少額短期保険(ミニ保険)は、生命保険料控除の対象外となっています。 Step5.地震保険料控除の計算    地震保険、旧長期損害保険、両方に該当する保険の3つがあります。    地震保険は最大5万円の所得控除、旧長期損害保険は最大1.5万円の所得控除、    地震保険料の最大控除額は5万円、保険料を何百万払っても最大で5万円までしか行かない。    地震保険は支払額がそのまま控除額となります(最大5万円)    旧長期損害保険料は1万円以下は支払金額、1万超〜2万円以下は支払金額 / 2 + 5千円、2万円超で15,000円控除。    地震保険料控除の注意点    1つの控除証明で15,000円の地震保険料と19,001円の旧長期損害保険料の証明がされている場合は、    地震保険料控除の額は15,000円となります。    地震保険、旧長期損害保険、両方に該当する保険の場合にはどちらか片方で計算した額が控除額となります。    地震保険を算出根拠とすると15,000円(支払額)    旧長期損害保険料を算出根拠とすると14,501円(支払金額 / 2 + 5千円、端数切上)    地震保険を算出根拠とした方が控除額が高くなるため15,000円が控除額です。    2つの控除証明で15,000円の地震保険料と19,001円の旧長期損害保険料の証明が別々にされている場合は、    地震保険料控除の額は29,501円となります。    1つ控除証明で旧長期損害保険料が130,000円証明されている場合には、    地震保険料控除の額は15,000円となります。    1つ控除証明で地震保険料が60,000円証明されている場合には、    地震保険料控除の額は50,000円となります。    ※1銭でも端数が出た場合には繰り上げ1円とします。     保険料の年度は関係ありません。     平成27年分を平成26年分に支払った場合、平成26年での控除となります。     また、逆に平成23年分を平成26年に支払った場合、平成26年での控除となります。     2099年分を2014年に支払った場合も同様です。     支払った時期が控除時期となります。     保険料控除は実質負担者の控除となります。     そのため契約者名や被保険者名にとらわれる必要はありません。     例外として、年金からの天引きのような形で徴収される介護保険などは受給者が実質負担者となります。 Step6.寡婦や勤労学生、障害者、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除の計算    世帯、生計を一にしている親族の状況によって控除額が変わってきます。    配偶者控除(改正予定あり)    基本的に38万円ですが、年齢や所得の有無で控除額や控除の有無が変わります。    年末調整を行う日の現況またはその年の死亡した時点で生計を一にしていて、    合計所得金額が38万円以下(給与103万円以下)なら控除を受けられます。    老人控除対象配偶者(改正予定あり)    70歳以上なら控除額が48万円にアップします。    配偶者特別控除(改正予定あり)    配偶者に38万円超、76万円未満の所得がある場合控除を受ける事が出来ます。   (給与にして103万円超〜141万円未満)    配偶者特別控除の一覧表(改正予定あり)
配偶者の給与収入配偶者の合計所得金額配偶者特別控除額
〜1,030,000〜380,000円0円(配偶者控除対象)
1,030,001円〜1,049,999円380,001円〜399,999円38万円
1,050,000円〜1,099,999円400,000円〜449,999円36万円
1,100,000円〜1,149,999円450,000円〜499,999円31万円
1,150,000円〜1,199,999円500,000円〜549,999円26万円
1,200,000円〜1,249,999円550,000円〜599,999円21万円
1,250,000円〜1,299,999円600,000円〜649,999円16万円
1,300,000円〜1,349,999円650,000円〜699,999円11万円
1,350,000円〜1,399,999円700,000円〜749,999円6万円
1,400,000円〜1,409,999円750,000円〜759,999円3万円
1,410,000円〜760,000円〜0円(控除なし)
   ※年末調整を行う日の現況により見積もった本年1月1日から12月31日までの合計所得金額から判定します。     扶養控除等申告書に所得ではなく収入が記載されている事があるため注意が必要です。    扶養控除    主に子供1人につき38万円の控除を受けられます。    特定扶養親族、同居老親、老人扶養親族などに該当する場合には控除額が変わります。    ※子(学生)が独り暮らししている場合など、     子に一定の所得がない限り、同居していなくても扶養として認められます。    ※16歳未満の子供、扶養親族は扶養控除を受けられません。     これは子供手当が支給されているためです。     16歳未満の扶養親族がいる場合には、「住民税・事業税に関する事項」欄に、該当事項を記入します。    ※共働きの際は扶養控除の計算に注意が必要です。     夫婦のどちらか一方から控除を受けることになります。     控除の二重取りは出来ません。    特定扶養親族    19歳以上23歳未満の扶養親族の控除額は63万円となります。    これは大学等の学費に出費が嵩むためです。    老人扶養親族    70歳以上の扶養親族は48万円の控除を受けられます。    扶養者が自身や配偶者の直系尊属の場合には同居老親として58万円の控除となります。    基礎控除    すべての人に適用される控除で38万円となっています。    寡婦控除    寡婦控除については男女で取り扱いが異なります。    女性の場合には死別・生死不明の場合、子供がいなくても27万円の控除が取れます。    その他の控除額については合計所得金額により27万円と35万円の控除枠があります。    勤労学生控除    勤労学生なら27万円の控除額を取る事が出来ます。    ただし、合計所得金額65万円以上(給与130万円相当)の方や勤労によらない所得(株式の売買益など)がある方については    この控除を受ける事ができません。    障害者控除    自身や配偶者、扶養親族に障害者がいる場合には控除枠が取れます(16歳未満の子も含む)    障害者27万円、特別障害者40万円、同居特別障害者75万円。    扶養控除等(異動)申告書の内容の確認(国税庁)    https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2014/pdf/10-17.pdf    ※控除対象配偶者や控除対象扶養親族、障害者などに該当するかどうかは、年末調整を行う日の現     況により判定しますが、その判定の要素となる@合計所得金額は、年末調整を行う日の現況により     見積もった本年1月1日から12月31日までの合計所得金額により、 A年齢は、本年12月31日(所得     者本人やその親族が年の中途で死亡したり、所得者本人が年の中途で出国して非居住者となる場合     には、その死亡又は出国の時)の現況により判定します。 Step7.課税される所得金額の計算    給与所得から各種控除を差し引き1,000円未満の端数を切り捨ててください。 Step8.算出年税額と年調年税額の計算    計算方法については、年末調整の手引きの電子計算機等による年末調整をご参照ください。    所得税は累進課税のため課税所得が多い人ほど税率も高くなります。 Step9.住宅借入金等特別控除額の計算    初年度は確定申告が必要ですが、2年目からは年末調整で控除を受けられます。    脅威の税額控除。所得控除とはレベルが違う。    国は夢のマイホーム計画をきちんと支援してくれてるんですね。    今まで挙げた所得控除が束になっても勝てないくらいのパワーがあります。    住宅借入金等特別控除を受ける際には、    住宅借入金等特別控除申告書と借入金の年末残高等証明書が必要となります。    控除を受けられる額は取得対価、借入金の年末残高、居住用部分の割合等により左右される。    大抵、住宅ローンの返済が進むにつれ受けられる控除額が少なくなります。    住宅借入金等特別控除申告書の記載例(国税庁)    https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/nencho2013/pdf/96.pdf    年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書を元に申告書を記載します。    申告書の@は借入金の年末残高等証明書の数字を転記して下さい。    住宅のみ、土地のみ、住宅及び土地等の区分についても年末残高等証明書に記載されております。    申告書のA及びBは控除証明書からそのままの数字を転記して下さい。    Aの計算部分は住宅と土地の合計額を記載してください。    Bの計算部分は小数点第四位まで計算し、第四位部分を切り上げてください。    Bの計算で90%以上になった場合は100%と記入します。    Cの記入部分は住宅の取得対価と借入金年末残高の少ない額を記入します。    Dの計算部分はCの数字にBの割合を乗じた額を記入します。    Jの計算は増改築がなければDの数字をそのまま記入します。    Mの計算はJの額に控除の割合を乗じ、100円未満の端数を切り捨てて下さい。    この額が一般的な宅借入金等特別控除額となります。 Step10.年調年税額の計算と復興特別所得税額    算出年税額から住宅借入金等特別控除額を差し引いた額が年調年税額となります。    この金額に102.1%を乗じ100円未満を切り捨てた額が復興税込みの税額です。    ※復興特別所得税額を計算する前に、住宅借入金等特別控除額を差し引いた額を使ってください。 Step11.源泉徴収の過不足額    今までに支払った給与からの源泉徴収額が税額を超えている場合、超えた分を12月給与で還付します。    逆に徴収額が足りない場合は不足している分を追加で12月給与から徴収します。 Step12.給与の支給    年末調整を行ったら通常の支給と明細に加え、その年の源泉徴収票も同梱します。    計算書類、源泉徴収簿、控除証明書書類もきちんと纏めておきましょう。 Step13.給与支払報告書への準備    給与支払報告書を元に市町村が住民税を課税します。

◆Tax 年末調整の計算例

下記の賃金台帳データを使って実際に計算を行ってみます。
賃金台帳1月〜9月10月〜11月12月-7月12月
給与300,000300,000300,000賞与500,000500,000
非課税通勤手当10,00010,00010,000---
総支給額310,000310,000310,000総支給額500,000500,000
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健康保険料15,95215,95215,952健康保険料24,92524,925
厚生年金保険料27,39227,95827,958厚生年金保険料42,80043,685
雇用保険料1,5501,5501,550雇用保険料2,5002,500
社会保険料控除44,89445,46045,460社会保険料控除70,22571,110
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社保控除後金額265,106264,540264,540社保控除後金額429,775428,890
内非課税支給分10,00010,00010,000内非課税支給分00
内課税支給額分255,106254,540254,540内課税支給額分429,775428,890
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源泉所得税1,9001,9001,900源泉所得税8,7768,757
年末調整過不足--10,833前月課税支給255,106254,540
住民税(普通徴収)000乗ずる率2.042%2.042%
差引支給額253,206252,640263,473差引支給額420,999420,133
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甲欄・扶養3人3人3人甲欄・扶養3人3人
賞与及び給与の計算根拠 平成26年度時点での数字となります。 非課税通勤手当を含めた額が標準報酬月額で届け出る金額となります。 非課税通勤手当は課税所得には含めません。 社会保険の計算は協会健保、東京、一般の事業、月額32万円、40歳未満で計算しております。 社会保険料の徴収は1か月遅れです。 算定基礎が途中でありますが、標準報酬月額の変動はありません。 平成26年9月分から厚生年金保険料が17.120% → 17.474%に改定されております。 介護保険も改定が行われていますが今回のケースでは40歳未満のため計算に影響はありません。 雇用保険の対象となる賃金(厚生労働省) http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/hoken/h23/dl/koyou-05.pdf 源泉税の扶養は配偶者1(控除対象配偶者)、子2人(15歳、21歳で障害あり)で計算しています。 この場合の扶養は3人となります(配偶者で1人 + 15歳子で0人 + 21歳子で2人 = 合計3人) 甲欄適用時の源泉徴収事務は源泉徴収のあらましに判りやすく例示されています(国税庁) http://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/pamph/gensen/aramashi2012/ 月額表の扶養人数等、間違えに気付きにくいため注意しましょう。 賞与に乗じるべき料率は前月の社会保険料控除後の金額で決まります(非課税通勤手当は含みません) 住民税の徴収額は年末調整には使用しません。 前年分の所得により決定されるため住民税の額は記載しておりません。 控除対象配偶者とは、所得者と生計を一にする配偶者で、合計所得金額が38万円以下の人をいいます(所法2@三十三) "(青色事業専従者として給与の支払を受ける人及び白色事業専従者を除きます)" "老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、年齢70歳以上の人をいいます(所法2@三十三の二)" 年末調整計算準備 賃金台帳などから年末調整に必要な数字を揃えます。 1.非課税通勤手当を除いた総支給額 4,600,000円 2.社会保険料控除の合計額 681,761円 3.源泉徴収された所得税額の合計額 40,333円 扶養控除等申告書より 4.控除対象配偶者、子2人(15歳、21歳で障害あり) 保険料控除等申告書より 5.新生命保険料証明額、一般の生命保険100,000円 6.子供の平成26年度国民年金保険料の実質負担、口座振替1年前納 179,160円 上記1〜6の条件で計算を行った場合。 支払うべき源泉所得税及び復興税特別所得税の額が29,500円となり、 源泉徴収済みの40,333円では納め過ぎということで、差額10,833円を12月給与で還付することとなります。 年末調整による税額の計算例
給与収入の計算
給与総額3,720,000給与支給総額、控除0の状態の金額
賞与総額1,000,000賞与支給総額、控除0の状態の金額
内非課税通勤手当等-120,000税法上非課税の収入を外します
給与収入4,600,000これが給与収入となります
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年調給与額の計算
給与収入4,600,000年調給与額を算出します
階差最小値1,624,000同一階差の最小値、給与の総額によって変わります
階差4,000階差、給与の総額によって変わります
階差の確認744.00(給与収入-階差最小値)/階差
744小数点以下切捨て
0.00端数の有無を確認、0ならば階差なし
階差調整額0端数(0.00)*階差(今回は4,000)
年調給与額4,600,000給与収入から階差調整額を差し引いた額
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給与所得の計算
年調給与額4,600,000年調給与額から給与所得を算出します。
乗じる割合80%給与所得控除後の給与等の金額の計算式を使用
控除額-540,000給与所得控除後の給与等の金額の計算式に控除額がある場合、該当する数字を使います。
給与所得3,140,000給与所得を算出
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各種控除の計算
社会保険料控除681,761給与から控除された社会保険料(健・厚・介)
179,160子の国民健康保険料の実質負担
生命保険料控除40,000新生命保険料控除一般用保険料10万円分
障害者控除270,000扶養している子の1人に障害がある場合
配偶者控除380,000控除対象配偶者1人
扶養控除630,000特定扶養親族1人、16歳未満の子は扶養控除対象外
基礎控除380,000全ての人が該当する控除
控除額合計2,560,921-
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課税所得の計算
差引給与579,079給与所得から控除額を差し引いた額
課税所得579,0001,000円未満を切り捨てた額が課税される所得金額となります
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源泉所得税・復興特別所得税の計算
課税所得579,000累進課税と復興税の計算
税率5%課税される所得金額に対する税額の計算
控除額0控除額がある場合、該当する金額を控除します
計算結果28,950これが源泉所得税部分です。源泉所得税の2.1%の額が復興特別所得税となります
復興税102.1%復興税の税率を加えた割合を乗じます
計算結果29,557.95源泉所得税に102.1%を乗じた額
年調年税額29,500100円未満の端数を切り捨てます
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年末調整による過不足額
年調年税額29,500支払うべき源泉所得税及び復興特別所得税
源泉徴収高40,333給与・賞与から天引きした源泉所得税の累計額
過不足10,833源泉徴収高の方が多いため、差額10,833円を還付します
※復興特別所得税や住宅借入金等特別控除の補足(国税庁)  https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/gensen/fukko/pdf/02.pdf  Q8に住宅借入金がある場合の計算例が記載されています。  住宅借入金、配当控除(確定申告)は復興税を計算する前に差し引く項目です。  また、税額における100円未満の端数切り捨ては復興税の計算が終わってから行います。 ※この記事は平成26年12月時点での話となります。  配偶者特別控除など税法改正の話がすでにありますので、平成27年以降は改正点を踏まえたうえでお読みください。
◆Tax 年末調整関係(確定申告との違い)
年末調整におきましては下手な本よりも年末調整の手引きや国税庁のホームページを見るほうがずっと良いです。 年末調整の手引きには計算方法が記載されていますし、国税庁のホームページには実際の計算例があります。 私個人としては、給与計算実務の経験と 国内株式、J-Reit、公募株式投資信託、外国債券、FX、ワラント、アフィリエイト、競馬の払い戻し、配当金、分配金 といった確定申告が必要なものがあるため独学で所得関係の知識を覚えました。 確定申告が出来れば年末調整の計算は出来るということで、 わかりやすい確定申告 や 確定申告書の書き方といった本も購入しましたが、 内容が薄く広くといった形で何百ページもあるけど、実際のところあまり役に立たない…… 購入するのでしたら年末調整専門の本をお探し下さい。 ※復興税後の丸め方が年末調整と確定申告では違います。  上記に挙げた計算例、年末調整では10,833円の還付ですが、確定申告では10,776円の還付となります。  還付金額に差がつく理由は復興税。  年末調整も確定申告も計算の大筋は同じなのですが、こういった細かい点に違いがあり、計算の際に注意が必要。
◆Tax 年末調整って何?
年末調整とは1年間(1月〜12月)の給与所得に対する所得税額を計算し、 源泉徴収した所得税との過不足を調整することです。 年末調整や給与計算といった仕事が初めてという方には、 収入と所得の違いが判らなかったり、計算のやり方自体が理解不能と言う事も十分にあり得ます。 覚えてしまいさえすれば計算方法は単純ですし、 給与計算ソフトもありますので初心者の方でも何とかなると思います。 給与計算における最大の鬼門は、給与計算ソフトの乗り換え。人数によっては、鬼畜すぎる・・・ TOPに戻る:はじめての年末調整
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